相続人の順位について

相続(記事)

はじめに

相続人の順位については、民法という法律に規定があります。
今回は、相続が発生した場合に、相続人の順位はどのような規定になっているの書いて行きたいと思います。
この記事を読んで頂ければ、ご自身が亡くなった場合、誰が相続人となるのか、若しくはご自身が相続人となることができるのか、特定することができると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

相続人の順位

【相続人の順位】
相続が発生した場合、相続人の順位は以下となります。

・配偶者
被相続人(死亡した人)の配偶者は常に相続人となります。
※内縁関係の場合は、相続人とはなりません。

・第1順位
被相続人(死亡した人) の子供
被相続人が亡くなる前に子供が既に亡くなっているときは、被相続人の孫やひ孫などが相続人となります。このことを代襲相続(孫)再代襲相続(ひ孫)といいます。
ちなみに、被相続人が亡くなる前に被相続人の子供が亡くなっていて、被相続人の孫、ひ孫、玄孫、といる場合は、亡くなった人により近い世代である孫が優先し、相続人となります。
(補足)
法律上の血の繋がりがなければ、相続人になることはできません。

(例題)
2008年3月5日にAはBという子供を産み、2010年10月2日にAはCの養子となった。
2020年8月1日にAが死亡し、2020年8月20日にCが死亡した。
この場合にBはCの相続人となるか。

(答え)
ならない。養子縁組前の子供(B)には法律上の血の繋がりがないため、Cの相続人となることはできない。

・第2順位
直系尊属(父母や祖父母など)
第2順位の人は、第1順位の人が存在しないときに相続人となります。
また、第1順位と同様、父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。

・第3順位
兄弟姉妹
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人も存在しないときに相続人となります。
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、被相続人の甥や姪が相続人となります。(代襲相続)
(注意)
第3順位に再代襲相続の規定はありません。

(例題)
Aには妻や子供はいないが、弟がいる。
弟には子供と孫がいる。
2018年11月5日に弟と弟の子供が亡くなり、2019年7月30日にAが亡くなった。
弟の孫はAの相続人となるか。

(答え)
ならない。第3順位(兄弟姉妹)のケースでは再代襲相続を認めていない。

相続人の順位(事例)

では、以下の事例で相続人の順位を特定してみましょう。

【事例1】
Aには妻との間に子供2人いて父と母もいる。
Aが亡くなった場合、誰が相続人となるか。

【答え】
常に相続人の妻(配偶者)と第1順位となる子供が2人いるため、妻と子供2人の計3人が相続人となる。この場合、第1順位の子供がいるため、第2順位の父と母は相続人とならない。
【事例2】
Aには妻との間に子供2人いて父と母もいる。
妻が先に亡くなり、その後Aが亡くなった場合、誰が相続人となるか。

【答え】
第1順位となる子供が2人いるため、子供2人が相続人となる。
この場合も第1順位の子供がいるため、第2順位の父と母は相続人とならない。
【事例3】
Aには妻がいて、父、母、兄、妹もいる。(Aに子供はいない)
Aが亡くなった場合、誰が相続人となるか。

【答え】
妻(配偶者)と父、母の計3人が相続人となる。
第2順位の父と母がいるため、第3順位の兄と妹は相続人とならない。
【事例4】
Aには父、母、祖母、姉、弟がいる。(Aに妻と子供はいない)
Aが亡くなった場合、誰が相続人となるか。

【答え】
父、母の計2人が相続人となる。
第2順位の父と母がいるため、第3順位の姉と弟は相続人とならない。
また、より近い世代を優先するため、祖母も相続人とならない。
【事例5】
Aには父、母、祖父、姉、弟がいたが、父と母は亡くなった。
その後Aが亡くなり、祖父、姉、弟がいる場合、誰が相続人となるか。(Aに妻と子供はいない)

【答え】
祖父の1人が相続人となる。
第2順位の直系尊属(祖父)がいるため、第3順位の姉と弟は相続人とならない。
【事例6】
Aには妻、父、母、祖父、兄がいたが、父、母、祖父は亡くなった。
その後Aが亡くなり、妻と兄がいる場合、誰が相続人となるか。(Aに子供はいない)

【答え】
妻と兄の計2人が相続人となる。
第1順位の子供はなく、第2順位の直系尊属も既に亡くなっているため、第3順位の兄も相続人となる。
【事例7】
Aには妻、父、母、祖父、兄、弟、姪(弟の子供)がいたが、父、母、祖父、弟は亡くなった。
その後Aが亡くなり、妻、兄、姪(弟の子供)がいる場合、誰が相続人となるか。
(Aに子供はいない)

【答え】
妻、兄、姪(弟の子供)の計3人が相続人となる。
第1順位の子供はなく、第2順位の直系尊属(父、母)も既に亡くなっているため、
第3順位の兄が相続人となる。
また兄弟姉妹は、代襲相続までは認められているため、姪(弟の子供)も相続人となる。
※兄弟姉妹の再代襲は認められていない。
【事例8】
Aには妻(B)と子がいて、子も妻(C)と結婚したが、子は既に亡くなっている。
また、子と妻(C)の間に子供はいない。
子が亡くなった後にAが亡くなった場合、誰が相続人となるか。

【答え】
第1順位の子は既に亡くなっている
ため、妻のみが相続人となる。
尚、子の妻(C)については、Aと法律上の血の繋がりがないため、相続人とはならない。

まとめ

いかがだったでしょうか。
少し複雑な事例も書かせていただきましたが、相続手続きや生前対策を進める上で、相続人の順位を把握し、相続人を特定することが第1歩になりますので、参考にしていただけたら幸いです。

もし、ご自身で相続人を特定することができなかった場合については、
ぜひ、当事務所までお問合せください。